どさにっき

by やまや
9月下旬

2017年9月24日(日)

物理層工事

_ ちょっと前に、フルスタックエンジニアならこれぐらいできなきゃダメだよねー、とすげー上から目線で語ってたブログが少し話題になったけど(どこだったかもはやわからん)、列挙されてるものがすべて L7 の技術で、え、いちばん上のレイヤだけでフルスタックエンジニアを名乗っちゃうの、L1 からぜんぶやるのがフルスタックってことなんじゃねーの、と激しく疑問を感じたのですよ。

_ そんなわけで、自分はフルスタックエンジニアじゃないけれど、引っ越したので新居の L1 工事をやるですよ。

_ とゆーかですね、内覧したときから気になってたんですよ、このコンセント。

この丸い穴、テレビのアンテナ線をつなぐところじゃないよね、明らかに。不動産屋に聞いてもわからんと言うし。こんなのが別の部屋にもうひとつある。それで、ピンと来たわけですよ。

_ コンセントプレートをはずすですよ。隙間にマイナスドライバーを入れてこじれば簡単にはずれます。

おっと、これは予想外。いや、オレンジ色のパイプ(CD 管)が通ってるのは予想通りだったんだけど、それが2本入ってるとは思わなかった。もう片方の部屋は CD 管は1本だけ。中に通ってる緑の線はアースに使われる銅線だけど、どこにも接続されておらずアースの役目を果たしていない。つまり、ここに「何かが通ってる」ことに意味があるのであって、それが何かはどうでもいいということ。ありがたい。通線ワイヤを調達してこなきゃと思ってたけど、手間が省けた。

_ ちうことで、接続されてないアース線すなわち呼び線に Cat6 のケーブルを結わえつけまして、もう一方の部屋からアース線を引っぱりますよ。

一気に2本通しちゃう。さらに今後3本目を通すときの呼び線として荷造り用のビニールテープもいっしょに通す(たぶん使わないけど)。

_ で、ひっぱり続けると、無事出てきました。

ここまで作業したところで近所のホムセンにお買い物に行く。先に行っとけ。冷蔵庫にアース線が付属してなかったから買ってきたばかりなのに。買わなくても引っ張り出したアース線を流用できたのに。

_ 買い物から帰ってきたら続きの作業を。LAN ケーブルの被覆を剥いて芯線をほぐす。

ところでツイストペアケーブルがツイストしてるのはなぜか理由を言える人ってどれくらいいるだろうか。ぶっちゃけノイズ低減のためなんだけど、なぜねじるとノイズが減るのか。フルスタックエンジニアなら当然知ってるよね!

_ で、買ってきたコネクタを接続。1個1000円ぐらいする。ふつーの LAN ケーブル用コネクタなら10個300円ぐらいで買えるのに。

ほんとはテスターで導通チェックした方がいいんだろうけど、持ってないしこのためだけに買うのもアレなので、簡易チェック。

この黒い線、単に内部で結線をショートさせてるだけのもの。ふつーは LAN ケーブルの両端に機器をつながないとリンクアップしないけど、これがあれば片方に機器をつなげるだけでリンクアップする。ふつーはケーブルの導通チェックではなく、スイッチのポート故障とかのチェックに使う。十何年ぶりに使ったよ(よく捨てずに持ってたな)。

_ 導通を確認したらコンセントに収めて、

コンセントプレートをかぶせて完了。

これで部屋間を有線でつなげるようになったですよ。たいていは無線で用は足りるんだけど、ちょうどこの2部屋の間は大きなデータを流したかったのでありがたい。

_ なお、CD 管が2本通ってた謎だけど、2本目の方はお風呂の天井裏につながってたことが判明。なんでそんなところに通ってるのかはわからんけど、湿気にやられている様子はまったくなく、換気扇やらテレビの分配器やらが設置されていて電源も取れるので、サーバとか設置するのにいいかもしれん。

_ なお、コンセントはいじるけど電気系統にはまったくさわらないので電気工事士の資格はいらないはず。原状復帰もカンタンなので賃貸物件でもできるよ。こんな空配管が通ってる物件がそもそもめったにないと思うけど。今回はあらかじめ呼び線が通ってたのでかなり簡単な作業だったけど、入ってない場合は通線ワイヤという工具が必要になる。あるいは、荷造り用ビニール紐を CD 管につっこんで反対側から掃除機でぶおーっと吸ってもいいらしい。


2017年9月19日(火)

IKEA の家具を買ってはいけない

_ とつぜんですが、引っ越しました。

_ 前の部屋もそこそこ広さはあったけど、今度はもっと広い。物置専用の部屋とかあるよすげー。これまで使ってた家具はひとり暮らしをはじめた学生のころに買った安物なんで、広くなったことだしこれを機にぜんぶ買い替えた。その買い替えを通して得られた知見が「日本人は IKEA の家具を買ってはいけない」ということ。IKEA ってよくみんな褒めそやしてるけど、店舗は少なくて気軽に行ける人ばっかりじゃないはずで、みんな実物を見ずに語ってないですかね。自分の場合、引っ越し前の家から車で15分、電車なら3駅という近所に IKEA があったので今回の引っ越しでは何度となく通って実物を見て検討できたけど、そうでなければヤバいものに手を出して失敗するところだった。

_ IKEA 家具のダメな点としてよく言われているのが、組み立て家具だけど解体する前提では作られておらず、解体作業中に壊れたり、うまく解体できたとしても再組み立てすると強度に問題があることが多くて引っ越し屋に嫌がられるということ。でも伝聞なので自分は知らない。しかし、搬出を一切考えなくてよいのであれば、ドアやら階段やら廊下やらが狭くて部屋への搬入が困難な大型家具でも、板材レベルまで分解されてるからパーツとして持ち込めるというのはむしろ絶大なメリットといえる。支障なく搬出できるかどうか以前に、まず搬入できなければまったく意味がないわけだから。しかも製品には完成品のサイズだけでなく、梱包サイズも明記されてるので搬入可能かどうかの事前検討も容易ですげーありがたい。ほんとうにマズい点はそんなところではない。

_ IKEA は海外企業であり、海外で設計された家具をそのまま日本で売ってる。i18n だが l10n されていない。イラストだけで文字がない組み立て説明書は l10n されてないわかりやすい例だけど、家具自体も l10n されていない。たとえば組み立てに使う工具も通常のプラスドライバー(フィリップス)じゃなくて ポジドライブという日本ではあまり流通していない規格。とはいえ、入手不可能なわけではないし、IKEA 店舗でも販売してるのでこれに関してはそれほど困らない。

_ IKEA の家具を買っていけないのは、体格の小さい日本人、あるいは狭くて小さい日本の住宅事情をまったく考えてないから。使い勝手に直結する重要な部分を l10n してない。IKEA にかぎらず、家具ってものは店頭の広い展示スペースで見るとそれほど大きく感じなくても、それを実際に部屋の中に入れると一転して巨大になるものである。IKEA の家具はそれがさらにひとまわり大きい。

_ たとえばダイニング用のテーブルの高さと椅子の座面高は、国産家具だとそれぞれ70cm、43cmぐらいが標準的。しかし IKEA ではそれぞれ 74cm、45cmであり、一般的な日本人には椅子が高めに感じる(が、店で試しに座ってみるときは家と違って靴を履いてる分だけ下腿高が高くなってるので気づきにくい)。だからといって椅子をニトリにしてテーブルだけ IKEA にする、とかやっちゃうと高さが合わなくて使いづらい。

_ IKEA で買っていけない最たるものがベッド。まずマットレスのサイズが JIS S 1102で規格化されていて(シングルなら 98cm x 195cm)、ベッドフレームはこのサイズに合うように作られる。しかし IKEA が JIS なんてローカル規格に配慮するわけがなく、同じシングルと称しながら 90cm x 200cmとサイズがまったく違う。なので、ベッド本体は IKEA で買うけどマットレスは専門メーカーのもので、ということができない。シーツなど定期的に買い替える必要のある消耗品も適合するサイズのものは IKEA にしか売っておらず、将来に渡って IKEA に縛られることになる。なお、JIS にはロングベッド(205cm)の規格もあるがほとんど流通しておらず、消耗品も激レアなので万が一売られてるのを見つけても同じ理由で買ってはいけない。一方、敷布団は長さ 210cm のロングサイズでも容易に入手できるので(っていうか標準サイズより多そう)、JIS 規格ベッドの 195cm を窮屈に感じる高身長の人なら布団がおすすめ。

_ で、自分の場合、背が高い方なので、IKEA の大きめサイズはむしろありがたかったりする。IKEA なんて海外ブランドをありがたがるつまんない品性の持ち主のためのものだよね、と思ってたけど、このサイズの違いに気がついた瞬間、自分の中で IKEA の評価が逆に急上昇した。自分の体格に合う家具が特注せずに手に入るなんて! 同居人の体格を考えなくていいひとり暮らしだし、どうせ部屋余ってるし、大きいことは自分の場合マイナスにはならない。一般的な日本人は IKEA の家具を買ってはいけないけど、おれは IKEA で買う。IKEA だいすき。ベッドは買わないけど。

_ サイズ以外の観点では、地震対策。国産メーカーの収納家具、とくに割れ物を多く収納する食器棚は、揺れてると扉や引き出しが自動でロックされて中のものが飛び出してこない 仕組みになってるものが多い。地震が多い日本ではあった方がいいけど、IKEA の収納家具に耐震ラッチつきのものはない(ごく一部にオプション扱いで存在する模様)。国産でも安いものにはなかったりするけど。なお、後付けできる耐震ラッチがそのへんのホムセンで売られてるので、まったくどうにもならんというわけではない。

_ IKEA は床置きではなく壁付けの家具がやたら充実してる。国産品ではせいぜい小さな棚ぐらいだけど、IKEA はそこそこ大きな収納家具でもあたりまえのように壁面設置用治具が同梱されてたり別売りされてたりする。 台所用の水切りカゴにすら壁付け治具が同梱されてるんだぜ。高いところに設置するだけでなく、床置きのように見えて実は床からほんの10cmぐらい浮かせて壁付けにしているような例もカタログにいくつか載ってる。が、日本の一般的な一戸建てやマンションの壁に使われる石膏ボードは脆く、壁面収納を固定できるような強度はない。うまいこと間柱の間隔に合えば、あるいは石膏ボード専用のアンカーを壁に打ち込めばそれでも設置はできるけど、かなり手間だし、原状回復を求められる賃貸住宅では不可能。見栄えはいいけど、ほんとに壁面設置してる人っているんですかね。まあ、床置き家具でも地震での転倒防止のためには壁固定するべきなんで、それ考えたら賃貸は壁付け不可ってのはおかしいんだけどな。

_ そして最後に重要な点。IKEA にはコタツがない。


2017年8月25日(金)

downdetector のしくみ

_ 今日のお昼ごろ、 各地でネットワーク障害がありまして、いろいろ被害を受けた人も多いんじゃないかと思いますが直接は関係ない話。

_ 障害になったサイトを調べるのに downdetectorを見に行ってた人がいたみたい。ただ、そのうちのけっこうな割合があれがどんなサービスなのかちゃんと把握できてないように感じる。

_ downdetector はその名の通り down を detect する、すなわち障害検知するサービスなんだけど、一般的な障害検知とはやりかたがまったく違うってことを理解しておく必要がある。ふつー障害検知というと、そのサービスのサイトにアクセスして期待する応答を返しているかどうかを監視するんだけど、downdetector はそういうことはしていない。 ここに書いてある。

実は障害の状況を一番よく知っているのはユーザー自身なのです。
(略)
分析するレポートの情報源のひとつがツイッターです。
よーするに、twitter を監視して、そのサービスを利用してる人が「あれ、なんか障害起きてね」とざわつきはじめたのを拾うサービスってこと。もっとわかりやすく言うと、単なる twitter のまとめサイト。「情報源のひとつ」とあるので twitter だけを見てるわけじゃないだろうけど、だからといって一般的な意味でのサービス監視をしているわけではないのは間違いない。

_ なので、サービス側の障害ではなくクライアント側がおかしくてアクセスできない人が騒いだり、あるいはまったく無関係な話題をしててもおかしな構文解析されたか何かで downdetector に障害判定されてしまうことがたまにある。単発の tweet で判定してるわけではなく一定の閾値を越える必要はあるけど、それでもけっこうな頻度で誤検知してる印象があるぞ。今回の大規模障害でも、影響を受けてないのに誤判定されているところがあった。 \

_ ということで、downdetector で障害検知されているときに次に取るべきアクションは、その裏付けを取ること。何か起きてるかもしれないという兆候をつかむにはいいサービスだけど、それを鵜呑みにするのはアホ。今回は itmedia の記事に downdetector の画面が出てるけど、裏を取ってなければ載せるべきではないし裏取りされてれば downdetector 以外の情報源が出てくるはず。こんなのメディアの記事に出てくるようなサイトなんかじゃないよ。

_ それから、 Digital Attack Mapの URL を張って、こんなに DDoS が起きてる、今日の障害はサイバー攻撃だったんだ、とか言ってる人も見かけたけど、DDoS 攻撃は毎日どこかで起きてます。平常運転です。こういう「何かあった日」だけでなく、平常時がどんなものなのか把握しておくのが重要。


9月下旬
やまや