どさにっき(アナログ) 〜2010年9月下旬〜

by やまや
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2010年9月21日(火)

東へ

_ 深夜から雨。朝にはほとんど雨はやんでたけど、それでも厚く低く雲が空を覆って太陽の方向すらわからない。せっかく海沿いのキャンプ場で寝たのに、オホーツク海からの日の出は見られず。つまんねーなー。

_ 海沿いの R238 通称オホーツク国道を東へ。このあたり、観光ガイドを見てもほとんど空白地帯で、見るべきものは海ぐらいしかない。まあ、海なし県で育ったわしにはそれでも十分すぎるのだが、この天気ではやっぱりおもしろくない。ひたすら車を走らせる。あー、紋別って桜庭一樹の『私の男』の舞台だったなー、と思いだしながらも、この天気もあって、やっぱりあの小説で描かれてたとおり陰鬱だなー、とネガティブな印象しか抱かず5分で素通り。

_ サロマ湖、でっかい湖! でも、湖を展望できる場所がほとんどない。「道の駅サロマ湖」から湖がまったく見えないってどういうことよ。道の駅の案内看板によると、どうやら近くの山の上に展望台があるようなので行こうとしてみたら、車を降りて登山道を 1.8km 歩け、って。別の展望台入口を探してそっちに行ってみたら、未舗装の林道を 4.4km 走れ、って。天気がよければそれでも行ってみたかもしれないけど、こんな今にもまた降りだしそうな曇り空ではその気になれず。せめて案内看板にその旨注意書きしておいてくれればいいのに。ほんとに観光客を相手にする気ないな。結局、でかい湖なのに運転しながら横目で見ただけ。

_ 能取湖。北海道にはナントカ原生花園とかいう自然のお花畑がいくつもあるけど、9月になってしまうとただの草原。そんな中、ちょうどこの時期に見頃になるのが能取湖のサンゴ草(アッケシソウ)の群落。水辺に真っ赤な絨毯が敷かれてるのは、たしかにほかにない景色だが、うん、なんだか、キモい。また、やけに整った長方形の範囲に群落が収まってて不自然に感じる。まったくの自然のものではなく、かなり人為的に作られた匂いがする。

_ そのまままっすぐいくと網走。ほんとはここで海沿いを走るのはやめて内陸に入るつもりだったんだけど、なんだか消化不良だったので、もっと海沿いを走る。すなわち、知床へ。

_ 知床は去年も来てるんだけど、そのときは知床五湖は駐車場待ちの列に1時間並んだ挙句にクマが出るとかでほんの入口までしか見られず、知床峠はガスってて視界が 30m しかなく、羅臼は雨だった。天気はあまりよくないけど、午後になってだいぶ雲も少なくなってきたのでまあなんとかなるだろう、と。結果。知床五湖は五湖ぜんぶ見られました。知床峠は雲が厚かったけど、ほんの一瞬だけ羅臼岳のてっぺんが見えました。羅臼は月が見えてます。そんなわけで、羅臼の道の駅で車中泊です。おやすみなさい。

_ 能取湖のサンゴ草群落。
サンゴ草
知床五湖のうち、三湖。
知床五湖
フレペの滝(といっても、崖のむこうなので写ってない)。
フレペの滝

_ 知床シカ多過ぎ。道路脇にうろうろしてるものだけであんなにたくさんいるんだから、山奥にいるものまで含めたら人間の数(住民だけでなく観光客まで含めた数)よりずっと多いはず。日光はシカが増えすぎて防護柵とか作ってるけど、でもガキンチョのころからたぶん20回くらい日光に行ってるのに実はまだ一度もシカを見たことがない程度には数が少ない(クマもサルも見たことあるのに)。知床はこれだけたくさんいて生態系のバランス崩れてんじゃない?


2010年9月22日(水)

湖めぐり

_ 岬めぐりじゃないのでパンツは飛びません。

_ 本日は移動日につき、ひたすら車で走るだけ。結果として、羅臼から旭川まで 500km 走りました。経由地も、大半のところは去年来たときにたいてい通ってるので、いまいちだったところは素通りして時間を節約して、それでも日が暮れて暗くなってからやっと到着。明日は早起きする予定なので手短かに。

_ 羅臼から南下して中標津で海とおわかれして内陸へ。道東の酪農地帯を通り、各地の湖をつなぐ道へ。屈斜路湖、摩周湖、ペンケトー&パンケトー、阿寒湖、オンネトー、足寄湖、糠平湖、大雪湖。うしろの3つはダム湖かな? やはりオンネトーがすばらしい。雌阿寒岳と阿寒富士の二峰をバックに静かに佇む姿は実に絵になる。あと1ヶ月すれば見事な紅葉が見られたんだろうけどねぇ。大雪山の上の方は今が紅葉の最盛期だけど、今日は時間がなくてそっちの方まで行けなかったし。やっぱり9月の北海道は中途半端だよな。

_ それにしても今日は寒かった。朝は曇ってたけど、しだいに晴れてきて、今まででいちばん天気がよかったんじゃないかな。でも、気温は高くないし、風は強いし。短パンに素足にサンダルはキツい。ある程度の寒さに耐えられる着替えは持ってきてるのにそれを着ないわしが悪いんだが。

_ どっかで見たような道路。ミルクロードだったかな? 開陽台のすぐそば。
ミルクロード
硫黄山。屈斜路湖カルデラの中にある活火山で、廃鉱になった硫黄鉱山跡地。
硫黄山
オンネトー。背後に控えるのは雌阿寒岳(左)と阿寒富士(右)。
オンネトー


2010年9月23日(木) 秋分の日

山へ

_ 北海道には昨年の9月の連休にも来てるわけで、なぜ2年続けて同じ時期に北海道に来ているのか。

_ 旭川の最低気温が3℃だった朝。目的地の途中にあったから、というそれだけの理由で立ち寄った層雲峡のロープウェーから黒岳に登ったら、それは見事な紅葉がひろがっていた。予備知識ゼロだったので、この時期に紅葉することも知らなかったし、こんなに寒いことも知らなかった。寒さに対する十分な備えがないためにこんな紅葉を目の前にしながら先に進めずすぐに帰らなければならないことがなんとも悔しかった。

_ この恨みを晴らすために来たというのが今回の旅の理由のほとんどを占める。というわけで、登ります。大雪山に。せっかくならてっぺんを目指そうということで、昨年撤退した黒岳ではなく、北海道の最高峰、標高 2290m の旭岳が目標。

_ 旭川の朝6時の気温は9℃。昨年よりは暖かい。が、ロープウェーの頂上駅は2℃とな。山頂は間違いなく氷点下。でも昨年と違ってちゃんと装備もあるし、この程度は想定の範囲内。むしろ、曇り空で山頂が見えないのが気になる。せっかく登ってもなんも見えないんじゃつまらん。まあ、雨が降るようなことはなさそうだからいいか(降るとしたら雨ではなく雪だ)。

_ ロープウェーの山頂駅付近は見事な紅葉。森林限界を越えてるので、紅葉の主役は低木や草。それにハイマツやササの緑が見事なコントラスト。これで天気がよければ申し分ないんだが、都合よくこちらの願いどおりになるもんでもないので、デカい岩がゴロゴロ転がってる登山道へ。見上げると途中から冠雪しており、さらに上は雲の中。そして振り返ると眼下には紅葉のパッチワーク。遠く旭川や美瑛の方角は雲の切れ目があるのに、なんでこのへんは厚く雲が覆ってるのかねぇ。

_ そんなこんなでてくてくと登る。気温は低いけどありがたいことに風はほとんどないので、寒さはあまり感じない。9合目あたりからはかなり風が強くなったけど。かくして2時間、到着した頂上は一面白かった。完全に雲の中で視界はほとんどないし、足元も雪が積もってて真っ白。1cm も積もってないんだけど、気温が低いので人の足で踏まれたぐらいじゃまったく解けないんだな。

_ 計画では、この先さらに進んでお鉢平まで行き、そこから裾合平の方までぐるっと回って降りてくるつもりだった。が、視界がない。ここより高いところはないわけなので、しばらく歩けばまた見えてくるとは思うんだけど、天候が変わったりすると道を見失うかもしれない。自分は基本的には登山客ではなく物見遊山の観光客なので、無理するのは観光客の本分ではない。ということで、そのまま来た道を引き返す。

_ 下山してもまだ午前。時間はたっぷりあるので、周回ルートの最後に通るはずだった裾合平の方向に行けるまで行ってみることに。歩きだしてふと上を見上げたら、旭岳の頂上が見えている。うがー、雲が晴れやがった。山の天気は変わりやすいというが、いい方向に天気が変わって腹立たしい思いをするとは。出発を1時間遅らせばよかったのかー。

_ でも、腹立たしいのはすぐ収まった。裾合平の紅葉はすばらしい。ロープウェー山頂駅付近の紅葉もよかったが、そんな比じゃない。これを形容する言葉は持ち合わせておりません。登山装備がなくてここまで来れずにこの景色を見られない一般客がかわいそうに感じるくらい(そう、去年のわしだ)。

_ というわけで、天気があまりよくなかったけど、それでも大満足の1日。お鉢平まで行けなかったのが残念だが、それは次に来たときのために取っておくということで。次は黒岳からお鉢平一周だな。 歩いたルート

_ 旭岳からの帰りに、そばにある天人峡の温泉で汗を流し、落差200m以上あるという羽衣の滝を見物して今日はおしまい。

_ 旭岳7合目付近から見下ろす。
7合目
旭岳山頂。なぁぁぁんも見えやせん。
山頂
裾合平。
裾合平 裾合平
草紅葉を愛でるキツネ。白い綿毛みたいなのはチングルマかな。
キツネ


2010年9月24日(金)

南へ

_ なんだかなー。いちばん晴れてほしかった昨日が曇ってたのに、そうでもない日は晴れるんだよなー。

_ ちうことで、旭川を出て南へ。美瑛やら富良野やらは人気の観光地なんだけど、うーん、あんまり惹かれないんだよなー。大自然とかいいながらけっこう人工的なものを感じちゃんだよね。そういえば、けっこう有名な富良野のカレー屋さんに唯我独尊ってのがあるようだけど(行ってない)、昔仙台にあった同じ名前のカレー屋さんとの関係を知ってる人がいたら教えてください。ぐぐってもひっかからないので仙台の唯我独尊はたぶんもう存在しないんじゃないかと思うけど、15年ほど前には東照宮だか薬科大だかの近辺にありました。観光ガイドとかに載ってる写真を見ると富良野の唯我独尊も仙台の唯我独尊もそっくりだし(どっちもでかいソーセージが載ったカレーが看板メニュー)、偶然で被るような店名じゃないし。

_ さらに南に下り、お昼ごろ帯広へ。これまでずっと市街地は回避してきたけど、市内中心部に突入。まず、昼飯に名物の豚丼を。昨年来たときも帯広の別の店で豚丼を食ってるけど、うん、感想は同じだな。御茶ノ水の豚野郎の方が安くてうまいと思う。まあ、観光客相手の店ではなく、地元の人が足繁く通う店ならもっとうまいのかもしれんけど、そういう店を探すのはちょっと無理。で、デザートの時間です。わざわざこのために帯広まで来たんですよっ。六花亭でケーキとか食いまくる:-)。幸せそうにケーキ食ってるヒゲ野郎の顔はちょっと人に見せられない。というか、窓ガラスに映った自分の顔キモい。

_ 十勝平野をもっと南へ。まったいらでまっすぐな道を突っ走る。で、このへん走ってて気がついたこと。街路樹だか防風林だかどっちかわからんけど、その中にカラマツが混じってないか? 北海道には自生してないはずだよね。本州でも自生地は数ヶ所しかなかったはず。わざわざそこから持ってきたのか(なんのために?)、それとも単にわしが他の種類の木と間違えてるのか、どっちだろ。

_ さらに南に進み、ふたたび海へ。黄金道路というらしいけど、黄金のようなすごい景観の道なんじゃなくて、難工事で開通までに巨額の建設費がかかったというのがこの通称の由来らしいよ。悪天候ですぐ通行止めになるらしく、それを回避するためにまた多額の建設費をかけて何ヶ所かで新しくトンネルを掘ってた。

_ で、襟裳岬に到着。ちょうど夕暮れ時。水平線の向こうに陽が落ちるのをぼけーっと眺めて本日はおしまい。岬の先端近くの駐車場でそのまま車中泊モードに移行。

_ 上富良野のジェットコースターの道。ふつーは地形に合わせててきとーにカーブした道を作るもんだが、北海道の人は道はまっすぐでなければならないとかいう強迫観念でもあるんだろうか。

襟裳岬からの日没。しかしほんとに何もない岬だな。


2010年9月25日(土)

帰路

_ 襟裳岬での車中泊。夜中、風の音で目が覚める。風で車も揺れてる。岬の突端にある観光駐車場ではなく、ちょっとだけ陸側に入ったところの風よけとなるものもけっこうある駐車場。それでも容赦なく吹きつけてくる。寝る前まではそれほど強くはなかったんだけど。襟裳岬の風は強いと聞いてはいたが、これが本当の姿ということか。まあ、気にせずまた朝まで寝たけど。

_ 太平洋岸をひたすら西へ。サラブレッドの放牧地帯を通りすぎるが、競馬に興味がない身には牛の放牧とさほど違いはなく。こいつらも馬刺しとかにされるんだろうか。

_ ということで、上陸地点の苫小牧まで戻ってきた。夕方にはここから出港するフェリーにのって帰るわけだが、時間はまだ十分にある。つーことで、フェリーターミナルは素通りして支笏湖へ。

_ 透明度の高いきれいな湖らしいんだけど、うーん、天気が悪いからなぁ。湖面は曇り空を映して白く光ってる。まわりの山々の景色もいいし、青空ならばすばらしい眺めになるんだろうけど、残念としかいいようがない。気温が低いし風もあるので、車の中から眺めるだけ。

_ オコタンペ湖。北海道三大秘湖のひとつらしいよ。あとのふたつはこの前いったオンネトーと、もうひとつは知らない。湖面近くまでは行けず離れた展望台で木立ちの合間から覗き見るだけ。秘湖なんだからこのぐらい秘しててもいいやという気もするが、でもやっぱり残念。

_ 苔の洞門。洞窟じゃなくて、上は空まで開けている。ので、峡谷というかゴルジュというかそんな地形だけど、沢じゃないので水は流れてない。その岩壁に苔がみっしりと生えてる、そんな場所。崩壊の危険ありということで長らく立ち入りが禁止されていたけど、安全が確保できたので一部開放、という話をしばらく前に聞いたんだけど、ふつーの観光客はやっぱり禁止で、入口部分を外から眺めるだけ。月に一度くらい開催されるガイドつきのツアーに参加した場合だけ中に入れる、というのが「一部開放」の意味らしい。立入禁止区域に入ろうとする不届き者がいないか監視してるおじさんがかなり話好きで、いろいろおもしろい話を聞かせてもらった。そのへんに転がってるデカい岩を指さして、「それ、ほんの10日ぐらい前に崩落してきたやつね」というぐらい危険が危いらしい。

_ 洞爺湖を目指して走る。が、時間がちょっと心配。行って帰ってくるだけならばなんとか間に合いそうだが、ほんとに往復するだけで、見物してる時間は取れそうもない。ということで断念して、美笛峠を越えたあたりで引き返す。こういうふうに時間を気にしながらの移動がイヤだから宿に泊まらず自由な旅程を組める車中泊な旅ばっかりなんだけど、さすがに車で海は渡れないので今回ばかりはしかたない。まあ、洞爺湖は学生のころに一度行ってるからいいか。あのときも曇り空、とゆーかガスってて何も見えなかったけどな。

_ ちうことで、いまは仙台行きフェリーの中。もうすぐ出港。ほんとなら明日の10時到着の予定なんだけど、台風が近づいてて遅れるとな。船が揺れても文句言わないよ、な同意もさせられた。まあ、到着しても船酔いで車を動かす気になれん、てなことにはならんだろ、きっと。

_ 北海道内でのトータルの移動距離 2220km。自宅から仙台までの往復を加えると、ちょうど 3000km ぐらいかな。今回の教訓。自炊旅はいいけど、カニは食うな。生ゴミを捨てられる場所がないので車内がカニ臭くなる。

_ 襟裳岬の旅館のダメすぎる案内看板。ほんとにセーラー服にエプロン姿の女子高生が接客してくれるなら車中泊なんかしないで宿に泊まりますが。
萌え旅館
苔の洞門。こんな感じで苔むした岩壁が400mほど続いているらしい(が、中には入れない)。崩壊前は登山道としても使われていたとおじさんが話してくれた。
苔の洞門
いまこの船の中にいます。来るときもこの船だったし、昨年来たときも往復ともこの船だった。同じ船に4回目の乗船。
フェリー


2010年9月29日(水)

ごめんなさい間違ってました。

_ 襟裳岬のダメ旅館の中の人がここを見たようで、じきじきにメールをいただきました。了承とってないけど勝手に一部抜粋するね。

書いてる内容に間違ってる部分がありましたので、お知らせいたします。

×女子高生
○女子中学生

です。詳しくは
http://seisyun.info/
をご覧ください。
だそうです。ダメすぎるだろ……。

_ まあ、そんなわけで、襟裳岬の先っぽまで行く機会があったら さんすいかくをよろしくしてやってください。わしはどっちかというとエプロンよりも割烹着の方が好みだ(←おまえもダメだ)。


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やまや