どさにっきキャッシュレス 〜2019年10月上旬〜

by やまや
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2019年10月2日(水)

正当なメールアドレスが使えないのは不当か

_ Jリーグチケットは正当なメールアドレスを受け付けないという話。

_ 自分も y@ という1文字ローカルパートなメールアドレスを使ってるのでときどき同じ罠にひっかかるけど、まあそういうもんだと思うけどね。イラッとすることは否定しないけど。RFC で制限されてないからといって、アプリケーションが独自に制限をかけてはいけないなんてルールはないんだし。あるならちゃんとその旨明示されている。

_ たとえば、URL の長さに制限はない。1TB のファイルを data URL schemeで 1.4TB の長さの URL に変換してもかまわない。が、そんなクソ長い URL を扱えるツールが存在するかどうかはまた別の話。あたりまえのこと。

_ 長いのは短いのとは話が違う、というわけでもない。以前、トンガの ccTLD である .to が TLD 自体に A レコードをつけたことがあった。http://to/... という URL の短縮 URL サービスをはじめちゃったのだ。TLD そのものをホスト名とすることも、http://to/ という極めて短い URL も、RFC 的には正当なもの。しかし、大半のブラウザでは http://to/ という URL を扱うことができず、やむなく to だけで FQDN であることを明示するために http://to./ とドメイン名部分に末尾ドットを付与しなければならなかった( 参考)。このワークアラウンドについて、正当な URL なのにブラウザがおかしな制限をかけているとかバグだとかいう声はなかったように記憶してる。確認してないけどたぶん今でも同じような制限がかかってるんじゃないかな。その一方で、TLD をそのような用途に使うのはどうなのかという批判が殺到して短縮 URL サービスは短期間で終了に追いこまれた。TLD 自体に A レコードを設定することは RFC では制限されてないのに。

_ メールアドレスでよく槍玉に挙げられるのは、+ という文字の扱いか。hoge+fuga@ はまぎれもなく正当なメールアドレスであり、gmail などでよく使われている。しかし、hoge+fuga@ が正当だからといって、メールサーバ管理者は拡張アドレス以外の用途で + という文字を含むメールアドレスを使わせてはならない。hoge@ とはまったくの赤の他人が hoge@ と同一人物であると誤認させる目的で hoge+fuga@ というアカウントを取得する危険があるからだ。+ が拡張アドレスをあらわすのは RFC の定めではなく単なる慣習にすぎないが、RFC で認められてるんだら使わせろという主張を通してはならない(拡張アドレスとして使わせるかどうかはご自由に)。

_ 今はメールアドレスに UTF-8な文字が使える世の中なんだけど、だからといって実際に UTF-8 なメールアドレスが使えるサービスなんて見たことがない。「正当なメールアドレス」かどうかという観点でいえば絵文字アドレスだって間違いなく正当であり、1文字アドレスは正当なんだから使えないのはおかしい、というのであれば、同じように絵文字アドレスも正当なんだからそれが使えない大多数のサービスもおかしいことになる(「到達可能なメールアドレス」かどうかという観点なら、SMTPUTF8 は extension なのでかならずしも到達可能ではない)。

_ 同じように1文字ローカルパートのメールアドレスを使う身としては、こういうサービスがなくなってほしいのはそのとおりなんだけど、でも RFC 的に正当なんだから使えないのはおかしいと主張するのは、それは筋が違う。1文字アドレスは一般的なものであり、それを使えないように制限するのは不合理であると主張するしかない。


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